THE FIRST SLAMDUNKが誕生するまで
すべてのはじまりは、東映アニメーションプロデューサー松井俊之(まついとしゆき)氏の
スラムダンクを映画にしたいという想いでした。
プロデューサー松井俊之(まついとしゆき)氏
松井氏は2003年にスラムダンクのDVDBOXをリリース。
とっくに連載終了している漫画とは思えないくらい、この反響がすさまじく、松井氏はそのまま原作事務所に映画化を打診します。
これが(2003年の秋頃のようです)
しかしこの時はまだ、具体的なプランも提示できず断られます。
その後もこの夢をあきらめきれなかった松井氏は、2009年にスラムダンクの映画化を目指すために、なんとプロジェクトチームを設立。
それからプランをかため、作者の井上氏のもとへビデオレターでモーションをはかりますが
「結果はNO」改めて映像化は難しいという、答えをもらうことになります。
しかし松井氏は、あきらめるどことか、さらに覚悟を固めます。
翌2010年には、パイロットフィルム制作に着手。
このTHEFIRSTSLAMDUNKは当初から、3DCGでの挑戦を決意していたようで、まず1本目のパイロットフィルムができあがり、企画書とともに原作サイドへ届けられます。
しかしやはりどうしても、3DCGの動きに違和感があり、映画化への良い返事はもらうことができませんでした。
しかし松井氏は間髪いれず、2本目のパイロットフィルム制作にとりかかりす。
それこそこの2本目のパイロットフィルムは、映画1本分くらいの力を込めて制作されたようです。
2012年、渾身の2本目のパイロットフィルムで、作者井上雄彦氏に再度提案します。
しかし答えはNO、当時の最先端の技術力をもって挑んでも、井上先生を納得させる事ができませんでした。
まぁ普通ならここまできたら井上氏は、スラムダンクを映画にする気はないだろうとあきらめます。
あきらめるというより、ムリなものは無理と判断するのが当然でしょう。
断固たる決意
しかし松井としゆき氏はあきらめませんでした。
さらにさらに覚悟を固め。
なんとこのスラムダンク映画化挑戦のために、当時のテレビ局を退社します。
しかも井上氏からも、次で最後にしましょうという言葉をかけられます。
正真正銘のラストチャンス断固たる決意で挑んだ
2014年12月冬…
3本目になる魂のパイロットフィルムは、とうとう作者井上雄彦氏を動かし、直接OKをもらいます。
この時、最初にビデオレターを送ってからすでに5年の月日が流れていました…
井上先生を突き動かしたのは、松井氏の熱意はもちろんですが、井上先生も心の奥底でスラムダンクの続きを、スラムダンクファンへ届けたいという気持ちを、ずっと持っていたそうです。
その思いを形にできるパートナーとして、松井氏ならば満足いく作品を一緒につくれると、最後まで戦えると井上先生は感じ取ったのではないでしょうか。
映画製作スタート
そしてスラムダンク映画化へ、いよいよスタートを切ることになったわけですが、ここからが本当の試練でした。
井上先生は当然、映画に関してはまったくのシロートです。
漫画は一人で描くことも可能ですが、映画はそういきません。
天才井上雄彦の頭の中にあるイメージや、キャラクターの細かい表情や動きなど、100%を全てのスタッフが共有してアニメーションとして具現化しなければなりません。
そう100%です。
できなければ1からやり直し、おそらくこういった作業です。
井上先生の頭の中にる動きを言語化して、スタッフに伝えアニメーションにする。
そして細部まで完璧なイメージ通りになるまで何度何度も作り直す…
気が遠くなるような仕事です。
漫画と映画の表現方法の違いは、はるかに大きく井上先生は、この映画のために書き上げた何十本ものネームをボツにしたそうです。
しかし
ずーーーっと書き直し
ずーーーーっと作り直し、繰り返し続けてようやく完成が見え…
発表を決意したのが、あの2021年1月のツイートです。
「スラムダンク映画になります。」
そうこの時すでに、正式に映画製作に入ってから6年以上…
そしてこのツイートから約2年後、2022年12月ようやく「THEFIRSTSLAMDUNK」は公開されるわけです。
この履歴を改めて見返していくと
映画スラムダンク大ヒット!さぁ続編つくるよ!って簡単に行かないと思います。
それこそこのTHEFIRSTSLAMDUNKに全力!全身全霊!
余力など考えず全ての力で作り上げた作品でしょう。
では続編の可能性は?
ここからが今回のテーマ。
これだけ制作期間がかかったのならば、やはり続編はないんじゃなないのか…?
あっても10年後ですかって?そういう事になってしまいますよね…
僕の考える結論から言えば、映画の次回作はそうなるかもしれません。
次は2回目の作品だから前回より要領よくつくれるはず、そう考えてのプレゼンならば、井上氏は映画としての続編は作らないと思います。
それこそ今回の松井氏と同じくらいの覚悟と熱意がないと、2作目とはいえ映画スラムダンクを完成させるのは無理でしょう。
ただ映画はそうかもしれません。
しかし漫画であれば…
映画は井上先生とはいえ一人では作れません。
そう漫画であれば、一人で作品を完成させることだってできます。
なので僕は、井上雄彦のスラムダンクは、まだ終わってないと確信してます。
ただ今ではないだけです。
今ではない理由
という事でこれから、漫画でスラムダンクが、今後描かれる可能性について説明します。
皆様ご存知でしょう、井上雄彦氏は現在も休載していますが、バガボンドとリアルという2つの漫画の連載をかかえています。
リアルは2019年よりゆっくりと再開されていますが、バガボンドは未だ休載中です。
ここで一度年表を見直してほしいんですが、スラムダンク映画化のゴーサインがでた、2014年12月この前後で連載中だったリアルとバガボンドが休載に入っています。
休載の理由は井上先生いわくスランプのため、続きが描けなくなってしまったとコメントされていますが、再開に関しては「THEFIRSTSLAMDUNK」にとりかかって、連載再開の余裕がなかったというのもあるんじゃないでしょうか。
しかも映画化は水面下で進めていた事なので、それを理由にもできなかったという可能性もあります。
そこで時期としては、バガボンドの連載が再開されたあと、完結までのめどがついたとき。
これは完結しなくても、めどがついたらです。
抱えている仕事にめどがついたら…
スラムダンクの短編スピンオフ作品、この可能性は全然ある!と思います。
そんなに簡単なものじゃないと思うかもしれませんが、そんな事はありません。
なぜなら既にものすごい数の、スラムダンクのストーリーが、井上先生の頭の中にあるはずだからです。
さかのぼってください。
2014年の映画化をきめてから数年間、井上雄彦はずっと2時間という映画の尺にあう、ネームを何十本も書いています。
書き直しています。
今回最終的に公開されたストーリーはこれでしたが、ずーーーっとスラムダンクのストーリーを
考えていたことになります。
宮城リョータが主人公だから、宮城リョータのことだけ考えているわけではありません。
宮城リョータの物語の間にも、全てのキャラクターの事も考えているのがリアリティです。
リョータがこうしているとき、花道や三井は何をしていて、それこそ仙道や牧、藤真が歩んでいる人生も同時進行して考えている。
井上雄彦の頭の中には、スラムダンクというメタバースのような空間が存在すると思います。
今回その中の、宮城リョータを切り取っただけで、全てのキャラクターも同時進行しています。
そう感じ取れるものには、井上先生のTwitterにもあります。
これは卒業式のシーズンに投稿された豊玉高校の南と岸本です。
原作ではもちろん「あれから10日後」でも豊玉の事は描かれていませんでした…
しかしここ卒業式という舞台で、あえて豊玉の南と岸本を書いてくれたのがポイントだと思います。
全国大会の最後、暴力をふるったのは金平監督のほうではありますが、南も控室で金平監督の首を絞めていました。
そんな事もあったけど、彼らも井上先生の頭の中で、退学せずに無事に卒業しましたよ、というメッセージだと思います。
まとめ。と予想
宮城リョータについては、山王戦のあと
数年過ぎたあとを少し描かれていましたが、同じく他のキャラクター達もその時その時間、何をしているというのは、井上先生の頭の中にあると思います。
なので時期がきたら、すでに頭の中にある沢山あるうちのストーリーを、きっと描いてくれるんじゃないでしょうか。
ではなぜ今が時期ではないかというと、スラムダンク同様にバガボンドを心待ちにしているファンが沢山います。
そのファンの期待をないがしろにしたまま、スラムダンクばかり描いたりは、しないんじゃないかなと思います。
井上先生は、バガボンドの続きもゾーンに入れば一年で完結までかけるとコメントしていました。
なのでバガボンドやリアルがせめて完結せずとも、ある程度めどがつく所まで進んだりしたら
いきなり読み切りや短編で、スラムダンクのスピンオフを書いて、ファンをまたまたびっくりさせたりするんじゃないかと予想してます。
結果的に、映画の雰囲気や尺にあわないという理由でボツあつかいにしてるネームも相当数あるでしょう。
なんならスラムダンクのスピンオフ漫画なら、井上先生が描くこと自体は容易だと思っています。
なので時期がきたら、きっと湘北メンバー以外のキャラクターたち、牧や仙道・藤真などの、ファンが愛してやまないキャラクターたちを、描いてくれる機会があるんじゃないかと期待しています。
この記事は完全な私個人の予想になっていますので、何卒ご理解くださいませ。
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